基礎収入の立証が困難な事案について

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さて,以前のブログでもお話ししましたが,交通事故により,休業が生じた場合には,休業損害を請求できることがあります。
また,後遺障害が認定された場合には後遺障害逸失利益(後遺障害がなかったならば得られたであろう収入などの利益)を請求できることがあります。
もっとも,休業損害も後遺障害逸失利益も認定されるためには基礎収入の立証が前提になります。
今回は,以前私が担当した裁判案件で基礎収入の立証が困難な事案についてお話しします。

この件は,被害者が個人事業主の方で事故前年度の所得額が0円でした。
さらに,事故前から首の痛みがあったこともあり,かつ,ご年配の方であったこともあり,基礎収入の立証が非常に困難な事案でした。
そこで,基礎収入の算定を賃金センサス(厚生労働省が作成する賃金の統計データ,いわゆる平均賃金)基準にするために労働意欲と労働能力があることを主張・立証する方針にしました。
実際,過去5年分の確定申告書,事業内容に関する書面,その事業にかかわる記載のされた手帳,を提出した上で,被害者の陳述書を作成して,提出しました。
事業内容が複雑かつ,長期にわたっていたため,多くの証拠を提出するとともに,主張書面も多く作成しました。
すごく大変でした。
その甲斐あって,結果的には,賃金センサス(いわゆる平均賃金)の50%の基礎収入が裁判上の和解で認められました。

基礎収入の立証が困難な事案の場合,どうしても基礎収入を立証できず,休業損害や後遺障害逸失利益が認定されないことがあります。
もっとも,最初から諦めるのではなく,一度,交通事故に詳しい弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。