弁護士法人心 東京法律事務所に所属しております、弁護士の宮城と申します。
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交通事故における共同不法行為事案に注意
A車運転手とB車運転手の双方に過失が生じる事故の同乗者が負傷した場合には、A車運転手とB車運転手双方に対して、共同不法行為として損害賠償を請求することができます。
このとき、同乗者はA車とB車の双方の自賠責保険が使用できることがあります。
自賠責保険の傷害分(後遺障害や死亡を除く部分の損害、治療費・入通院交通費・休業損害・入通院慰謝料などの合計)は120万円が上限ですが、2つの自賠責保険が使える場合には240万円(120万円✕2)が上限になります。
この場合に、任意保険会社から一つの自賠責保険しか使えない前提で示談金の提示がされることも多くあるため、注意が必要です。
たとえば、治療期間が200日、実通院日数100日、自賠責基準で計算した場合の治療費・通院交通費・通院慰謝料・休業損害合計240万円に収まる事案において、任意保険基準で慰謝料を60万円程度で提示されることがあります。
しかしながら、2つの自賠責保険が使える場合には、200日✕4300円=86万円が自賠責基準の慰謝料になります。
交通事故に詳しい弁護士であれば、2つの自賠責保険を使えるかも含めて検討しながら、示談交渉を行うことができますが、交通事故に詳しくない方であれば、2つの自賠責保険が使えることに気づかず、損してしまうことがあります。
保険会社の担当者も、2つの自賠責保険が使えることを見落としてしまう担当もおり、私が直近で担当した件も、実際、見落とされていたケースでした。
もちろん、2つの自賠責保険を使えるか否かは、双方の車両に過失が生じることが前提のもと、車両の所有者が誰なのか、日頃運転している方は誰なのか、などによって結論が変わってきますので、交通事故に詳しくないと判断を誤ってしまうことがあります。
共同不法行為の事案は、車両の同乗者だけでなく、2台以上の車両の運転手の過失により歩行者が負傷したケースなどもあり、様々です。
そのため、任意保険会社から示談金の提示を受けた方は、示談前に、交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。