信号のない十字路の交差点における自転車対自動車の事故の過失割合について

交通事故案件のご相談を多く承っていると、信号のない十字路の交差点における直進同士の自転車対自動車の過失割合についてのご相談が多くあります。
そこで、今回は、その場合の過失割合についてお話ししたいと思います。

まず、自動車に一時停止規制がある場合の基本的過失割合は、自転車10対自動車90です(別冊判例タイムズ38・243図)。
次に、双方の道路に規制がない同幅員の場合の基本的過失割合は、自転車20対自動車80です(別冊判例タイムズ38・240図)。
さらに、自転車に一時停止規制がある場合の基本的過失割合は、自転車40対自動車60です(別冊判例タイムズ38・244図)。
そして、自動車の方が優先道路(自動車側のセンターラインが交差点の中でも引かれている道路)の場合の基本的過失割合は50対50です(別冊判例タイムズ38・246図)。

裁判所は、事故状況から基本的過失割合を導き、そのうえで修正要素がある場合には、基本的過失割合を修正して、過失割合を判断することが一般的です。
たとえば、自動車の運転手が酒気帯び運転であった場合には、修正要素である「著しい過失」にあたり、10%修正されることが一般的です。
そのため、前記のとおり、双方の道路に規制がない同幅員の場合の基本的過失割合は、自転車20対自動車80ですが、自動車側が酒気帯び運転の場合には、その他の修正要素がない限り、10%修正し、自転車10対自動車90となる可能性が高いです。

なお、修正要素が存在することを証明する責任は、基本的には、修正要素によって有利になる方が負います。
修正要素を証明するうえでは、ドライブレコーダー映像などがあると良いです。
ドライブレコーダーの映像は、SDカードなどの記録媒体に保存される形式が多いですが、事故後、すぐに記録媒体を抜き取っておかないと、場合によっては上書きされてしまい、事故状況の映像が消えてしまうことがあるため、要注意です。

このように、過失割合の判断は、基本的過失割合を知るだけではなく、修正要素の有無も大切になりますので、お悩みの方は、交通事故に詳しい弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。