ゴールデンウィークも多くの事故がありました。
複数台が関係する事故も報道されていましたが、複数台が関係する事故において、共同不法行為が成立することもあるため、今回は、複数台が関係する事故の共同不法行為についてお話します。
2人以上の過失により権利が侵害された場合には共同不法行為が成立します。
関連条文として、不法行為責任を定めた民法第709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しており、また、共同不法行為を定めた民法第719条1項は「数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。」と定めています。
民法第719条の「連帯して」とは不真正連帯を意味すると解されており、共同不法行為者各自が全額の賠償義務を負うものとされています(もっとも、二重取りはできません)。
たとえば、玉突き事故であっても、前から2台目の車両が理由もなく急ブレーキを踏み、3台目が2台目との車間距離が不十分で追突し、先頭車両が損傷した場合には、2台目と3台目の運転者は、それぞれ過失が生じることが一般的であり、そうすると、先頭車両の所有者に対して共同不法行為が成立することになります。
したがって、先頭車両の所有者は、生じた損害について、2台目の運転者に対して、生じた全額の賠償請求を行うこともできますし、3台目の運転者に対して、全額の賠償請求を行うこともできます(ただし、二重取りはできません)。
共同不法行為が成立するかについては、時間的場所的な近接性などを考慮して判断されることになりますが、大前提として、2人以上の過失が存在していることが必要になるため、事故の原因や調査内容が結論に大きく影響し、難解であることも少なくありません。
複数台が関係する事故については、交通事故に詳しい弁護士に相談すると安心です。