受傷から初診までの期間が空いている場合について

交通事故で受傷した場合に、仕事が忙しくて初診が遅れてしまうことや交通事故以外の病気や怪我の関係で入院せざるを得ず初診が遅れてしまうことがあります。
自賠責保険において、事故と負傷との間の相当因果関係が認められるためには、原則として、事故から14日以内に受診することが必要となることは以前のブログでもご説明しました。
単に、自賠責保険会社から治療費や通院慰謝料の支払がされるためであれば、事故から14日以内に受診すれば足りることになりますが、万が一、後遺症が残ってしまった場合に、後遺障害等級認定を獲得しようとすると別の視点が必要になります。
たとえば、むちうち症などの症状を裏付ける客観的な証拠が乏しいものについては、目安として、事故から3日以内に受診しないと後遺障害等級認定において、不利に扱われてしまうことがあります。
この場合に、初診が遅れたことについて合理的な理由があれば不利に扱われないこともありますが、一般的には、仕事が忙しかったことや予定が立て込んでいたことだけでは合理的な理由にはなりません。
たとえば、事故前から海外での事業での出張が決まっており、どうしても海外に行かざるをえず、初診が遅れてしまった場合や他の病気や怪我の関係で整形外科の受診が困難であった場合など、は合理的な理由として扱われる可能性があります。
このような初診遅れの合理的な理由を証明するために、勤務先に協力していただくことや病院の診断書等を取得することなどが後遺障害等級認定の結果に影響を与えることがあります。
後遺障害等級認定申請の重要な認定基準や細かい運用の大部分は外部に公開されておらず、適切な後遺障害等級を獲得するためには、このような認定基準や運用を把握しているかが大切になります。
後遺障害等級認定申請をお考えの方は、後遺障害等級認定申請の重要な認定基準や細かい運用を把握している弁護士(可能であれば後遺障害の審査機関である損害保険料率算出機構の元職員が在籍している法律事務所)に相談することをお勧めします。